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福岡県糸島市東702番地1
私が嫁いだ先は、福岡市のはずれ、周囲は田んぼに囲まれた、一見静かでのどかな雰囲気の田園地帯。言い換えれば田舎。目の見えない私が歩くのは、とても危険を伴う場所なのです。
視覚障がい者にとって、単独で歩行するには視覚以外の情報はとても重要です。車の音や行き交う人々の足音や話し声、お店や施設から聞こえてくる音や臭い、信号の音響などなど。わずかな気配や空気の流れすらも四感(視覚以外の感覚)を駆使して歩かなければなりません。しかし私の自宅の周囲にはそうした情報が乏しく、しかも交通量が少なく、歩行者もあまりいないせいか、たまに家の前を通る車は猛スピードで走っていく。最初の頃は怖くて怖くてなかなか一人では外に出ることができませんでした。
だからと言って一家の主婦がずっと家に閉じこもっているわけにはいきません。白杖での歩行を約9年間ほど続けましたが、体調を崩し、入院、手術した後は白杖歩行も難しくなり、ついに盲導犬をもらうことにしたんです。はじめ家族の反対もあったのですが、より安全な歩行のために、と説得してようやく1頭目の盲導犬ワーグナーと出会うことになったのです。
ワーグナーが来てくれてからずいぶん外出しやすくなりました。白杖に比べて早いし、安全だし、電信柱にぶつかったり、田んぼや側溝に落ちることもなくなりました。
何より街中までくると、道行く人が私のことを気に留めてくれるようになったのです。白杖の時はほとんど声をかけてくれる人はいなかったのですが、盲導犬を連れていると「大丈夫ですか?」などと声をかけてくれることが断然多くなり、そこで道を聞いたり、道路の横断をサポートしてもらったりと、ずいぶん助けられています。盲導犬がいても完璧に歩けるわけではないので、不安な思いや危険な目にあうこともたくさんあります。行く先々で声をかけていただくのはとてもありがたいのです。
自宅で治療院をしていると、どうしても運動不足になりがちなので、毎日の散歩は欠かせません。田舎道での散歩にも盲導犬のサポートは心強いですし、一人で歩くより一緒に歩くパートナーがいることが楽しくて長続きできているのかもしれませんね。おかげでずいぶん健康になったと思います。
いまや盲導犬も2頭目のヴァルトに代替わりしました。ヴァルトもすっかり我が家の一員として立派に務めを果たしてくれますし、家にいるときは我が子のように甘えてくれて、とてもかわいいです。もう盲導犬なしの生活は考えられません。そして盲導犬は単なる歩行手段としてだけでなく、私たち盲導犬使用者と社会をつないでくれると実感しています。盲導犬が仕事を頑張っている姿を通して、一般の皆さんが少しでも視覚障がい者の歩行に興味を持ってくださり、目が見えない人でも歩きやすい街づくりのきっかけになればいいなあと心から願っています。
盲導犬ユーザーの方に、盲導犬を利用するきっかけや利用前と利用後の違いなどを語っていただきました。
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